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CICLISSIMO No.44は3月6日発売
CICLISSIMO No.44は3月6日発売
 自転車ロードレース/マガジン CICLISSIMO(チクリッシモ)の2015年最初の号、 No.44〜チームガイド&選手名鑑号が、3月6日(金)に発売されます。昨年よりも発売日を2週間早めました。そのわけは? 3月8〜15日に開催されるパリ〜ニースのTV観戦に、別冊付録のチームガイド&選手名鑑を使えるようにするためです。別冊付録は、昨年よりボリュームアップ。12ページ増の全64ページで、新たにワールドツアー+メジャーレース29の解説ページを付けました。
 もう1つ付録が付きます。キャノンデール・ガーミン プロサイクリングチームのポスター。ファンなら絶対欲しい特大(B2判)サイズです。
 2006年7月に第1号を刊行した本誌は、今年2015年に創刊10周年を迎えました。そこで創刊10周年を記念する特集「Play back! 2006-2014 ロードレースの軌跡」を組みました。「砂田弓弦の表紙写真で振り返るレース界2006-2014」始め、ロードレースの現代史が分かる記事6本を掲載。中でも、レースウオッチャーNacoの労作「2006-2015 チーム変遷チャート図」は、現在のチームのルーツと途中の合従連衡が分かる、まさに保存版の内容。
 新連載も始まります。J SPORTSのサイクルロードレース番組の解説者を務める永井孝樹氏がレースの見方を、図解を駆使して解説する「永井孝樹のロードレース超図解! 観戦塾」。観戦を始めたばかりの人にうってつけです。
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砂田弓弦監修 自転車ロードレース・マガジン
CICLISSIMOチクリッシモ
2015 NO.44

3月6日(火)発売
付録とも定価1,620円【税込】
A4ワイド判本誌96ページ/別冊付録64ページ

別冊付録= 海外レースの観戦はこの1冊でOK!
顔写真&索引付き!プロチームガイド&選手名鑑2015
 ワールドツアー+αメジャーレース29の解説付き
 UCIワールドチーム全17+プロフェッショナル
 コンチネンタルチーム全20 計37チーム
 
特別付録= B2判ポスター
キャノンデール・ガーミン プロサイクリングチーム

特集= Play back! 2006-2014ロードレースの軌跡
創刊10周年企画 砂田弓弦の表紙写真で振り返るレース界2006-2014年
嵐の中の10年——仏ジャーナリスト JF・ケネ
 ベテラン選手ステフ・クレメントにインタビュー
 2006-2015 レース機材の変遷
 保存版 2006-2015 チーム変遷チャート図
 保存版 2006-2015 出来事年表

特集= 2015注目選手直撃インタビュー
 別府史之/浅田顕&新城幸也/ダリオ・カタルド/ナセル・ブアーニ

年初のステージレース
 ツール・ダウンアンダー/ツアー・オブ・カタール/ツアー・オブ・オマーン

新連載
永井孝樹のロードレース超図解! 観戦塾
ボトルの投げ捨て
ボトルの投げ捨て
近年、ボトルやゴミの投げ捨てが厳しく問われる傾向があって、今回のオマーンのレースでは、観客がいないところでの投げ捨てに対して、かなりの監督が罰金を取られた。
観客がいるところでやれば、それはお土産になるからいいわけだ。
それから投げているのは選手だが、監督のまさに監督責任が問われているのだ。
これはエコの面からもいいことだと思う。
自転車が社会的に認められる上で、避けては通れない問題だ。
しかしながら、ボトルを捨てなくては新しい水がもらえないわけで、解決策は今の所、見つかっていない。
ツアー・オブ・オマーンの長い1日
ツアー・オブ・オマーンの長い1日
第5ステージはいちばん重要なステージだった。
この日は朝9時45分にテント前に集合のはずだった。
時間通りに行くといつも早すぎるので、若干遅れて行った。ほんの3分ほど。
ところがなぜかこの日は時間通り、もしかすると予定時間を早めて出発したような感じで、僕はおいてきぼりをくらった。
そこにちょうど、アルフォンソ・デヴォルフがいた。1980年にロンバルディーアを、1981年にサンレモを取った元強豪選手である。このカタールとオマーンのレースでは、エディ・メルクスの運転手を務めている。
アルフォンソがエディに頼んでくれたおかげで、僕は2人が乗るレースディレクターカーでスタートに向かった。
エディはクルマの中で1980年代にインドの方で行われたラリーにトヨタ・カローラで出場し、クルマは転覆するは、飛行機の座席はないわの、まさに冒険ラリーを経験したことを長々と流暢なイタリア語で話してくれた。

スタートに向かう途中からすごい砂嵐が吹き荒れた。エディも僕もオマーンの大会を全部カバーしているが(今年で6回目)、こんな砂嵐は初めてだった。
スタートに着くと、すでに到着していたコミッセールがコースの短縮を決定した。
そしてまもなくコンボイを作って新たなスタートに向かった。そこは、今日の勝負所となる峠の登り口だった。
当初は峠2回往復のところを、短縮した分を追加して3往復することに決定した。そしてまずは峠を一回ニュートラリゼーションで上って下ることになった。
そこで僕は山頂で待つことにした。山頂は、今年のジェイスポーツの1月、2月の写真を撮ったところで、下りは100kmを超えるスピードが出る。
僕はまず、今日のウォーミングアップみたいな感じで、そのジェイスポーツのカレンダーと全く同じところに立って写真を撮った。そして選手たちがすごいスピードで下っていくのを見届けた後、オートバイで後を追った。
ところが不思議なことが起きてきた。バルディアーニの選手が4人もパンクして立ち止まっているのだが、なんか様子が変なのだ。普通のパンクではないとは思った。

下り終わった時、カンチェッラーラがレースディレクターのペシューのクルマに寄ってなにか抗議している。そして間もなく集団はストップし、ストライキが始まった。
選手の言い分は
「気温が高く、タイヤがパンクしやすくなっている。すでに4人もパンクした。このハイスピードが出るコースはとても危険だから、レースできない」というものだった。
これに対し、主催者側のエディ・メルクスは
「他のレースと同じ気象条件。レースの中断は認められない」と言う。
選手の代表はいつもカンチェッラーラで、マペイ時代のチームメートで普段も仲の良いポッツァートなど、強い選手の多くが続行反対のように見えた。
アシストクラスはこういうとき、自分の立場をわきまえてまったく発言しないし、できる雰囲気でもない。
ただ、メルクスのところにバルベルデが行き、
「自分はレース続行に賛成」と言った。バルベルデが言うということは、少なくともモビスター勢の総意でもある。
また、ヴァンガードレンがポッツァートと意見を戦わせていたところを見ると、彼もまた続行賛成に見えた。
このように、選手でも意見が分かれていた。
そのうち、メルクスが声を荒げ、
「走りたくない選手はすぐにどいてくれ。走る選手は今からスタートだ」と興奮してまくし立てた。
ブアニとオフレドが
「もしここで走らなくても、明日のステージは走れますか?」と聞くと、メルクスは
「No!」と一蹴した。
さらに、地元の大会運営委員が
「こんなんじゃ、もうオマーンで大会はできない」と激怒した。
これに対しカンチェッラーラは
「オマーンの国や人、大会をリスペクトはするが、自転車よりも命の方が大事だ」と主張を曲げなかった。

結局、ステージはキャンセルとなった。
メルクスの表情は、それはそれは怖かった。
自転車界の神様の意見が通らなかったのである。
メルクスのことを悪く言う人はこれまで自分の人生で聞いたことは一度もないし、実際メルクスが選手を怒鳴ると、だれもが口をつぐんだ。

僕は今回の事件でいくつかのことを思った。
1つはなぜバルディアーニだけが立て続けに4人もパンクしたかだ。いや、パンクではなく、車輪からタイヤが外れたのかもしれない。実際、ランプレの名メカニックのペンゴが車輪を持って状態を見せに来たのだけど、糊が柔らかくなってタイヤが手で簡単にはがせることができた。
いずれにしても、バルディアーニのタイヤか糊に問題があったことはたしかだ。
そして猛暑での100キロ越えのダウンヒルができないというなら、真夏のツール・ド・フランスのトゥールマレのあのおそろしいダウンヒルはなぜ中止にならないのだろう。あそこも100キロは出るし、道はここよりもずっと凸凹している。ご存知、夏のツールはアスファルトが溶けるくらいに気温も上がる。

結局のところ、選手がバルディアーニ勢のパンクを見て、かなりの恐怖感をいだいたということだろう。
しかし、普段仲の良いメルクスとカンチェッラーラが意見を戦わせたのはすごかった。メルクスは自転車界の神様で、人間的にも非常に良くできた人。
一方、カンチェッラーラは選手のリーダー的存在である。
明日から、また二人はいつもの仲に戻るのだろうか。それとも亀裂が入ったのだろうか?
また、この大会で非常に重要な今日の峠が、今後除外されるかもしれないだろう。そうなると、大会としてどうなのだろうか?
このステージの中止がもしかすると、いろんなところに影響するかもしれない。
ますます疑問は尽きない。
日本の二人
日本の二人
今、ティンコフで走り、昨年のさいたまクリテリウムで来日したマイカと話をしたのだけど、さいたまでのレース後の日本滞在はすごくエンジョイできたという。
そのあと、イタリアのルッカに戻り、キリマンジャロ登山というユニークな合宿に出かけたのだ。
「うん、今ルッカに住んでいるんのだけど、マッサージ師の宮島もそうだよ。彼のやり方、それから中野もそうなんだけど、他のマッサージと違っていて、本当にすごくいいんだ」という。
マッサージの世界も色々と変わってきていて、ヨーロッパに昔からある摩るだけのやり方だけではダメと聞いていただけに、これは嬉しい話だった。

かつてデローザで修行した大阪の長澤さんの働きっぷりは伝説で、デローザの作業効率を飛躍的に伸ばした。
今でもデローザに行けば、ウーゴから必ず「彼は元気か」と言われる。
ヨーロッパで教わるだけではなく、ヨーロッパで教えるような日本人がいたんだと感動したものだけど、今、二人のMADE IN JAPAN?がこれに加わった。
競輪
競輪
今、オマーンに来ているフランスのフォトグラファーの息子さんが新婚旅行で今ちょうど日本に行っていて、数日前に競輪を見に行ったという。
また、今オマーンにいるホアキン・ロドリゲスも去年の暮れに日本に行った時、競輪を見に行って、しかも車券を買ってみたという。
自分は世界選手権のケイリンこそ何度も見たけど、普通の競輪を見たのは数えるほどしかない。
やっぱり、外国の自転車ファンにとっては、一度は見てみたいものなのかな?
春のスケジュール
今、オマーンにいるのだけど、このあとどこに行くのか、いろんな人から毎日のように聞かれます。
具体的に言うと、「ヘット・ニューズブラッドか、パリ〜ニースか、それともティレーノ〜アドリアティコか」ですね。

僕は23日に帰国して自宅で過ごし、そして3月10日に出国。
翌日からイタリアのティレーノ〜アドリアティコに向かいます。
それが終わったらミラノ〜サンレモ、そしてベルギーのクラシックレースと続きます。

昨日、今日とレースがない日で、本当にリラックスしてます。
だけど、このあとは長いシーズンが続くので、これがシーズン終わりのリラックスだったらどんなにいいんだろうと思います。
プロチーム
自転車界は狭いなんて知ったようなことを言う人もいるけど、自分にとってわからないことだらけ。
以前からプロチームの運営について興味があったのだけど、昨日、たまたまこれに詳しい人から夕食後にお茶を飲みながら話を聞かせてもらった。
まあ、今はプロツール、ワールドツールができたけど、それでもかなり危うい構造なんですね。
その人曰く、まったくビジネスになっていないとか。
今、話題のチームも長くは続かず、オーナーもすぐに売りたいと言っているとか。
まあ、魔界です、魔界。
ヴェロマガジン
ヴェロマガジン
フランスのヴェロマガジン(そういえば昔、日本でも発売していたなあ)のためにキッテルの撮影をツール・ダウンアンダーでやったのだけど、それを見せてもらいました。
この号は表紙を含め、自分の撮ったものがかなりたくさん載ってます。
カタールの横風
カタールの横風
カタールの風がどれだけ凄いかというと、まずレースのスピードが上がると、若い選手だけで構成されたバルディアーニが一人ずつ集団から千切れ始める。
イタリアのアマで活躍したり、去年のジロ・ディ・イタリアで区間優勝したような連中がである。
次にポッツァートやデマールらのビッグネームが千切れ始める。
もうその辺で、自分の中で、アドレナリンが吹き出す。
ロードレースの山岳もいいけど、日本やラテンの国ではなかなか体験できない風も楽しい。
だけど、砂を吸っているせいか、喉が痛いし、痰も出て、気管支が調子悪い。
ポートレート撮影
ポートレート撮影
今日はレースがない日なのだけど、ホテルのロビーでクリストフ、ヴァンアーヴェルマート、デマールの3人の撮影をした。
クリストフは約束の時間に現れず、1時間待ったけどダメだった。
自分が直接アポを取っていないので、歯がゆいばかりだが、ベルギーのジャーナリストが言うのは、彼はちょっと難しい性格で、これまでも何度かインタビューのアポをすっぽかされたという。
ヴァンアーヴェルマートとデマールはこれまでもやっているので顔見知り。約束の時間ぴったりに来てくれて撮影はすぐに終わった。
デマールはさいたまクリテリウムに家族で来たのだけど、大会の前後1週間、合計2週間日本を回って、とても良かったと言う。
日本人が親切なのもすごく良かったと言ってくれた。
そこにやってきたのは、大きなカバン2個を引っ張りながら到着したカンチェッラーラ。彼は
「おい、今度は俺の女房といっしょに日本に行きたいよ」と言う。
「じゃあ、さいたまクリテリウムに来れば?」というと、爆笑の答えが。
ここに書くのは控えますけど。
カタールより
ベルギーのクライアントから、いきなり強い選手3人のポートレートを撮ってくれと言われ、せっかくのレースのない休養日が台無し。
向こうはもうアポは取ってあるからというんだけど、そのうちの一人デマールに聞いたら、何も知らされていないというから呆れ返った。

去年のこの大会でイギリスのルーラーマガジンの女性フォトグラファーと知り合い、未だにフィルムカメラを使っているのですごく楽しい話ができた。
今年は彼女の同僚ジャーナリストが来ていて雑誌を見せてもらったのだけど、アームストロングは今トレックに乗っていないし、シューズがスペシャライズドだし、ヘルメットがガーミンの使っているあのカッコ悪いやつだし、びっくりした。

昨夜から男子選手が入ってきていて、ホテル内が一気に華やかになってきた。
シーズン最初で新しいチームにトラバーユした選手やスタッフもいて、いろんなところで挨拶が交わされている。
女子のレース
女子のレース
ツアー・オブ・カタール女子のレースの落車を見ていると、正直言って自分の娘にやらせたくはない。
だけど、血を流しながら走っていくのを見ると、けっこう感動します。

昔、スキーのW杯に出ていた選手に
「世界の女子のレベルってどの程度なんですか?」と質問したら、
「大回転に限って言うと、僕ら日本男子が勝つか負けるかくらいだと思う」という答えが返ってきて驚愕したのを思い出しました。
ドーハに到着
ドーハに到着
朝4時にドーハに到着。
明日からレディース・ツアー・オブ・カタールです。
ここシェラトンホテルの食事がおいしく、滞在には大満足です。

写真はロビーでハープを奏でる女性。この音楽を聴きながらの朝食は最高でした、
また、お昼にその姿はなかったですが、食事、とくにサラダがやっぱり最高でした。1日目にして早くも太りそうな予感。
今日から行く中東のこと
今、成田空港でカタール行きのフライト待ちです。
今朝、イスラム過激派に捕らえられていた後藤さんが、本当に残念なことになってしまいました。
僕が3週間強、よりによってカタールとオマーンに行くと言うとびっくりされますが、現地の治安は本当にいいです。
僕もイスラムのことはよくわからないのですが、現地のフォトグラファーに聞いたところによると、盗みを働いて腕を切断されるのは今サウジアラビアだけで、カタールやオマーンでは数十年前で取りやめになったとのこと。
それでも重罪は重罪で、そうした犯罪は非常に少ないとのことです。

僕はこれまでヨーロッパで何度も盗難にあいました。
向こうに足を運んでから今年で31年目になるのですが、昨年も被害額でいうと、100万円近くのものが盗まれました。
ところがスペインの警察に行くと、その事故処理はあくまでも事務的で、やる気などは全く感じられません。
まあ、これはラテンの国では共通のことで、下手すれば、やられたほうが悪いくらいの感じです。

イタリアの前のオートバイの運転手は敬虔なクリスチャンで、罪を憎んで人を憎まずの考え方でした。
泥棒を捕まえても翌日になれば警察から出てくるようなイタリアと、腕をぶった切られる国だったら、俺は断然後者のほうがいいといいました。
100万円の盗難で自分は今でもこの仕事をやっているけど、もし貯金もないフォトグラファーがこれだけの機材を盗まれたら、最悪自殺することだって考えられます。
「お前は泥棒だって人間だって言うけど、じゃあ、やられた俺がもし自殺することになったらどうするの?」というと、運転手は黙っていました。
まあ、こういうことを共に納得し合うことは元来不可能なことで、お互いの持っている結論は変わりませんからね。
でも、カタールやオマーンに行って、その治安の良さを体験すると、ヨーロッパのあの「人を見たら泥棒と思え」状態が本当に嫌になるんですよ。
後藤さんのことは残念で、ご家族や周囲の方の気持ち、日本国民の感情を考えると深刻にならざる得ませんけど、ただあれはテロリスト集団のやったことで、イスラムの国全体悪いということではありません。それはやっぱりはっきりしておかなければならないと思うのです。