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今年もあとわずか
今年もあとわずか
今年もあと10日ほどで終わります。
早いもので、レース最前線から退いて3年になります。
今回は、自分の今の思いをお伝えしたいと思います。

この3年間、いくつかの海外レースや国内レースを取材しました。
日本ではジャパンカップとさいたまクリテリウムをずっと撮影させてもらっています。この2つは世界の一流選手と触れ合うことができ、とても楽しいですね。ファンの方々にとっても日本で世界との接点が味わえる唯一の機会だと思います。

一方、国内のレースを見ると、とくに成長が感じられません。さらに2年連続でレース中の死亡事故が起きています。レース数とサイクリストの数から割り出すと、異常に高い事故率です。

また12月に東京でレースをやっているのにショックを受けました。これを連盟がバックアップし、さらに日本国内のチームが参加しているのに心底驚きました。
公道レースがすばらしいなどと吹聴しているのを見ましたが、常識外れです。自転車先進国の連盟だったら開催自体を許さないはず。連盟が役割を全うしていない日本の今を象徴する出来事でした。
海外の一流選手たちが敗因を語る時、ピークをうまく持ってくることができなかった旨のことをよく言いますが、12月にレースを走るとなると、そこにはシーズンという概念がなく、選手にとってのピーキングが崩壊します。こういう姿勢でシーズンを迎えるならば、調子の波を合わせてくる海外選手とまともに戦えるわけがなく、コテンパンにやられると思います。実際、今だってそうなのですから。

日本のロードレースというのは、メディアを含めてエンターテインメントであり、若い人が目指すスポーツではないと強く感じています。自分のように海外で通用する選手の出現を期待する人たちにとって希望が生まれる土壌が日本にはない。強い弱い、成績が良い悪いに関心がない人がとても多い。そもそも、僕がこれまでやってきた海外の雑誌やWEBで読者からの質問の大半はレースの戦術だけど、日本には戦術を語るとか解説するとかはほぼ皆無。ネットに出ている話のコピペばかりです。

また、日本のトップに位置するいわゆる実業団チームの衰退も目を覆うばかりです。30年前と比べてなにか進歩があるでしょうか?
観客どころか、家族の応援もないロードレースというものを日本に戻って初めて見ましたが、ここでもう一度レース、そして組織としてのチームというものをよく考えて見たほうが良いと思います。
今の希望の光が見えない状況を打開するには、合併してチームの資金を積み上げ、海外に積極的に出ていく体制を整えない限り、今やジュニアよりもレベルが低いと思われる日本のレースのレベルを引き上げるのは不可能だと思います。世界のレベルは今、急速に上がってきているからです。
先日、アジアのあるチームと話をしたとき、そのバジェットが日本のチームの十倍近くあるのに驚きました。平均給与が日本の半分以下の国です。そうしないことには戦えないと自覚しているのでしょう。
今のままでは、日本の自転車は衰退の一途を辿ることは間違いありません。