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イル・ミオ・チクリズモ プロトンの轍 Vol.2 2007〜2020 明日発売
イル・ミオ・チクリズモ プロトンの轍 Vol.2 2007〜2020 明日発売
イル・ミオ・チクリズモ プロトンの轍 Vol.2 2007〜2020 が明日全国の書店等で発売されますが、本日、自宅に届きました。
今年すでにイル・ミオ・チクリズモ プロトンの轍 Vol.1 1989〜2006を出していて、これを合わせると今年2冊目、自分のキャリアでは12冊目の本です。
32年間の世界のレースを自分の写真だけで構成した年代記、クロニカルです。自転車競技はすでに100年以上の歴史があり、自分が見てきた32年間はほんの一部ですが、それでも近年のロードレースの流れが分かるようになっています。こうした本は日本には存在しませんし、世界的にみても一人のフォトグラファーがそのキャリアをまとめたものはそんなにないと思います。

僕はこれまでいろんな国のいろんな媒体で仕事をやってきました。今日もスロバキアの広告代理店が3m四方の大きなパネルを作るというのでデータ画像を納品したところです。
その中でも、本というのは時代が変わっても不滅で、作者にとって一つの勲章みたいなものだとも思っています。
雑誌やウエブもいっしょに思われる方もいるかもしれませんが、保存性はもちろんのこと、社会や自転車界に与える影響みたいなものを考慮すると、ぜんぜん意味が違っています。これは自分の経験からもはっきり言えます。
たとえばツール・ド・フランスの主催者に雑誌を渡したところでリアクションはほぼありませんが、本は違います。一度、レースディレクターのプリュドムが写真集の前書きを書いてくれたのですが、こっちからお願いしたというよりも、「お前が書いてほしいのだったら、いつでも言えよ」と言ってくれたのがきっかけでした。こうしたことも、本だからこそ可能なのです。
たとえ今は必要なくても、本棚にこの2冊をぜひ並べてみてください。ロードレースに興味を持った人ならば、昔はどうだったのだろう?と思う時が必ずやってきます。
だからこそ、欧州では昔の映像が今も普通に流され、雑誌に過去の写真が掲載されるのです。

ただ、自転車レースの写真を撮ったから見てくださいと言っても、本場ヨーロッパでは全然通用しません。写真は腐るほど出回っていますから。
かつて、ある会社のカレンダーを担当してました。写真は全部デザイナーが選んで作られたのですが、レース会場のプレスルームで配ったところ、大半が捨てられていて愕然としたことがありました。
その後、ジェイ・スポーツのカレンダーの写真を自分が選ぶやり方で20年ほどやったでしょうか。ヨーロッパの連中からも喜ばれ、早く持って来いと言われたり、メールで催促されたりして、毎年スーツケースに詰めて持って行きました。
雑誌ではチクリッシモを立ち上げましたが、あれも向こうで喜ばれました。たとえば取材する選手に最初に見せると、撮影の依頼を断った選手はまだいません。
今回の八重洲出版からの写真集も、いつものように、まずは欧州の人に渡して恥ずかしくないか、ちゃんと読んでもらえるかが自分の中の最低ラインとしてありました。
本の評価は読者がするものですが、自分としては満足しています。
あと30年たったときに、日本人でもこんな奴がいたんだと思われるものができたのではないかと思っています。
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